
6月4日パリで行われた女子テニス全仏オープン(ダブルス)3回戦にて、日本の加藤未唯選手(ザイマックス)とアーディラ・スーチャディ選手(インドネシア)のペアが第2セット途中で失格になったことについて波紋が広がっています。加藤未唯選手はこの判定に対して不服を申し立て「危険行為にあたらない」とし、運営に提訴しました。
加藤未唯(テニス)の失格シーン動画に波紋 相手ペアが故意に失格を誘発か
加藤未唯選手(ザイマックス)とアーディラ・スーチャディ選手(インドネシア)ペアはこの試合、第1セットを失うも第2セットは3-1とリードし、第5ゲームを迎えていました。
ポイント間で加藤未唯選手が相手コート奥のボールガールにバックハンドでボールを渡すシーンが発端となりました。
加藤未唯選手はプレイが止まった際、再開に向けてボールを相手コートにバックハンドで打った打球が画面左下の方でボールガールにノーバウンドで直撃しているのがわかります。
出典:twitter
これは明らかに故意ではなく、相手コートのボールガールにボールを渡した行為に見受けられます。
テニス経験者でなくともこうした行為は普通に行われることであるとわかるのですが、これに対して相手ペアが審判に対して抗議を申し入れしました。注目すべきは、加藤未唯選手の打ったボールがボールガールに当たった時、相手ペアの2人はその事に気付いておりません。
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審判は一度下した「警告」を相手ペアの抗議により「失格」に変えてしまったという大問題
これに対して審判は加藤未唯選手への警告という形を取りましたが、一向に泣き止まないボールガールの様子を見た相手ペアが審判に再度確認の申し入れをします。
この時相手ペアはボール直撃の瞬間を目視していなかったにも関わらず、ボールガールが泣いているということだけで審判に詰め寄り失格を促していました。
この申し入れを受けて審判は加藤未唯選手に対して失格という判断を下します。
これに対して加藤未唯選手は抗議しますが、
「実際にボールが直撃してボールガールが泣いている」
「出血している(実際に出血していたかどうかは定かではない)」
という2点だけで加藤未唯選手の主張を突っぱねました。
加藤未唯選手はビデオでの確認を申し入れましたがそれも聞き入れられず、一方的に失格を言い渡されたのです。
しかしながら実際の映像を見ると、ボールガールはボール直撃の衝撃で泣いているというよりも、衆人環視の中で動揺して過呼吸のようになってしまっているようにも見受けられます。
ボールガールになるには体力や精神力、技術面などあらゆる項目をクリアしなければなりません。
コート上であればいつでも起こりうるボールの直撃だけで泣き続けているとの考えにくい部分があります。
こうした事も考慮されず、審判は一方的な失格を言い渡しました。
ノバク・ジョコビッチ選手が過去に類似した出来事を起こしている
今回の加藤未唯選手のように、打ったボールが選手以外の人間に当たってしまうことはよくあることです。
ましてや今回は意図せずボールガールに当たってしまったという事案です。
2020年の全米オープンでジョコビッチ選手がボールガールにボールをぶつけてしまった際失格となりましたが、この時はジョコビッチ選手が感情的にボールを打った結果だったという部分が失格の決め手となりました。
テニスのボールボーイ・ボールガールになるには厳しい条件をクリアしなければならない
テニスのボールボーイ・ボールガールは一流の選手を間近で見ることができ、試合中も常にテレビ画面に映っていることからも、世界中のテニスキッズの憧れのひとつともいえます。
今回加藤未唯選手のボールが直撃したボールガールも以下の条件をクリアしてコートに立っています。
・基礎知識トレーニングを修了していること
・勉強やテニスの成績が学校内で上位であること
・運動能力、俊敏性、テニスのルールや知識などの厳しい審査
・視力が良い
・フランステニス連盟会員
・身長175cm未満
・年齢11~15歳
・炎天下のコートで技術を叩き込まれる合宿を耐え抜いた者
こうして選ばれた子供たちがボールボーイ・ボールガールとしてコートに立っています。
故意ではない返球が体に当たり、泣いている真相を確かめることもなく審判は一方的に失格を言い渡したのです。
加藤未唯(テニス)の失格シーン動画に波紋 審判の判断に世界中から疑問の声

明らかに悪いのは加藤未唯ではなく審判

また、失格の判定を受けて涙する加藤未唯選手を見てほくそ笑むような様子のサラ・ソリベス=トルモ/マリエ・ブズコバのペアの表情にも「品も敬意もない」「最も恥ずべき顔」と海外からも批判の声が集まっています。
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相手ペアは今回の件について、あくまで審判の判断であると主張しています。
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加藤未唯(テニス)の失格シーン動画に波紋 加藤選手の過去の素行が槍玉に
今回の件を受けてネット上では、加藤未唯選手の過去の素行が今回の判定の発端にもなっているのではという声もあがっています。
2017年の全米オープン予選決勝では、3時間に及ぶ熱闘の末に逆転負けを喫した加藤未唯選手がラケットとボールをスコアボードに叩きつけて破損させてしまったということがありました。
また、その他にも叩きつけて曲がったままのラケットを試合後放置して会場を去ってしまったり、コート外にラケットを投げてしまったといったこともありました。
とはいえ、白熱した試合ではよくあることです。
今回のことは加藤未唯選手にとっては不幸なアクシデントとなってしまったわけですが、その後に自身のSNSで事の経緯説明と謝罪を投稿しています。
テニスの女王マルチナ・ナブラチロワも相手ペアを猛批判
一連の出来事を受け、女子テニス界の絶対女王として君臨するマルチナ・ナブラチロワ氏は、不戦勝を狙って審判に失格をけしかけてほくそ笑んでいた相手ペア「ブズコバ」と「ソリベストルモ」に対して「これはルールの馬鹿げた解釈であり、相手の失格を主張することは恥ずべきことだ」とコメントしています。
https://mdpr.jp/
加藤未唯(テニス)の失格シーン動画に波紋加藤は不服とし運営を提訴
加藤未唯選手はこの判定に対して「危険行為にあたらない」と不服を主張し、運営側に対して提訴をしています。
これに対し多くの国内外問わず多くのテニス関係者からは加藤未唯選手を擁護する声があがっています。
そして加藤未唯選手の失格をけしかけた相手ペアの一人「サラ・ソリベストルモ(スペイン)」は女子シングルスで4回戦敗退。試合後の記者会見で加藤未唯選手失格の件について質問されるも、「悪いことはなにもしていない」と開き直り批判が強まっています。
一方の加藤未唯選手は混合ダブルスでベスト4入りを果たしました。
因果応報ともいえるこの結果に対して海外のテニス関係者からも
「ソリベストルモが敗れ、加藤が混合ダブルスで勝ち、多くのテニスファンが喜んだ」
「カルマだ」
という声が上がっているようです。